男の真剣な眼差し。
黙々と手、指先を動かす。
男が左手に持っているのは、
直径2センチにも満たない小さな透明な玉。
そして右手には細い紐。
どうやら玉に空いている小さい穴に
紐を通そうとしている。
片側の紐が無事に通った。
男は満足そうにアイコスをくわえ、一息。
得意そうな顔をしながらふう〜と煙を吐き出す。
そう、彼は知る人ぞ知る(誰も知らない)
念珠職人(ウソ)である。
念珠作りで最も難しいとされている工程が今の
紐を通す所らしい(個人の感想です)。
─あなたにとってお念珠とは?─
念珠はお仕事でもプライベートでもよく使いますね。
頂き物も結構あるんですけど、木の玉の念珠をいくつか持ってて。
以前は紐が切れると、自分ではどうしようも無かったので、
京都のお店で直してもらってました。
ただね、いざ京都行くってなると、
切れた念珠たちのこと、忘れてるんですよね(笑)
どんどん切れたまま溜まっていって、、
─自分で直すようになった、きっかけは?─
前から出来たらいいなとは思うちょったんです。
それが、ある日、子どもが目を離した瞬間、
力任せに引っ張っちゃって、、
それでパラパラっと(汗)
お気に入りの念珠だったんだけど(涙)
で、気づいたら、あと予備の一つしかないやん(汗)てね。
で、インターネットとかYouTubeとかで
紐の編み方とか一生懸命勉強してさ。
紐そのものもネットショップでポチッとね。
失敗を何回も繰り返してさ。大変でしたよ(笑)
出来るようになったら、今度はオリジナルが
欲しくなって、石から買い始めたら、もうね。
どんどんこだわりが出てきて、大変でした(笑)
現在は家中に無惨にも放置されていた
念珠たちを集め、片っ端から直しているとのこと。
僕にとって念珠作りですか?
なんだろうな…⁉︎
仕事ではないさかい、
ん〜趣味とはまた違う気するしな…
……、、
ん〜趣味みたいなもんでやんす。
男はそう笑いながら話すと、アイコスをしまった。
どうやら歯を磨いて寝るらしい。
おやすみなさい。
※途中インタビュー風に書きましたが、
インタビューは全て私の心の中で行われております。
※写真と念珠を直している事以外、
あと、アイコスを吸った事以外、全てフィクションです。